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世界同時株安で大分は

平成20年10月、世界恐慌の再来とも表現される「アメリカ発の世界同時株安」が発生した。 この歴史的な事態勃発で大分はどうなってしまうのだろう。 

トヨタの本社がある愛知県では、世界同時株安が発生する前の9月時点で景気減速の影響により来年の税収を最大1600億円減と見込んでいるが、世界同時株安の発生で事態は更に悪くなっているだろう。 そして、これは、大分県にとって決して他人事では無いはずだ。 なぜならば、大分県にはトヨタに次ぐ日本第二の利益をあげているキヤノンの100%出資子会社で、キヤノンの主力製品であるデジカメを製造する「大分キヤノン」の本社があるからだ。

後述するようにキヤノンはデジカメから利益を得ることが難しくなったと考えられ、製造子会社の大分キヤノンは世界経済が持ち直すまでデジカメの大幅な減産を余儀なくされるであろう。 そう、大分県も愛知県同様、大幅な税収の落ち込みが見込まれるのだ。 大分キヤノンが落とす税金の減少、人口の減少に伴う税収の減少、取引先企業の景気も悪くなるし従業員も出費を抑制するようになるためデパートなどの売り上げも減る。 それらをトータルすると税収の落ち込みは半端なものではないだろう。

以下は平成16年4月付けで大分県のホームページにアップされた「大分県の緊急行財政改革」から抜粋したものだが、これからもわかるとおり、大分県の財政は一時逼迫していた。 その後、行革を推進し、財政黒字で推移してきたのだが、それにも終止符が打たれ、再び、財政再建団体転落予備軍の地位が与えられる可能性は大いにある。 手始めは大分キヤノンの本社がある国東市かもしれない。 国東市には大分キヤノンからの税金の一部が入るが、それでも国東市の財政はイッパイイッパイの状態だ。 大分キヤノンからの税収が激減したら第二の夕張になる可能性すら否定できない状態だと私は見ている。

これまで、交通体系の充実や特色ある地域づくりなど、県民が暮らしやすい地域社会の構築に向けて、各種施策に積極的に取り組み、その結果、各方面にわたる社会基盤整備が相当程度進んできたものと考えています。 しかしながら、これらの事業の主要な財源として活用した県債の残高が年々増大し、これに伴う公債費の増嵩が財政運営の多大な負担となってきております。さらに、県税収入が大幅に減少など、本県財政を取り巻く環境は、近年急速に厳しさを増しています。 加えて、昨年末には国の三位一体の改革に伴う、地方交付税、臨時財政対策債の大幅削減などにより、本県財政はさらに危機的な状況に陥ることとなりました。 このような状況を踏まえて、本県の中期的な財政収支を試算した結果、このまま行財政改革を行わなければ、平成17年度に約226億円の赤字が生じ、財政再建団体となり、平成20年度には累計で約1,455億円の赤字が生じるという極めて厳しい結果となっています。

出典: 大分県ホームページ http://www.pref.oita.jp/11100/gyokaku/
ついでに言えば、大分県は、過去累計でキヤノン誘致関連し総額で53億円の補助金が投入されたとの数字もあり、かつ、競争入札とすべき工事がなぜ随意契約となっていたなどダーティーな面も指摘されている。 これで大分県が財政再建団体に転落でもしようものなら、目測を誤った大分の行政の責任は重い。

平成20年10月20日の西日本新聞によれば、大分における上半期の倒産は過去最悪だそうだ。 下半期は世界同時株安の影響も加わるだろうから大変だ。


デジカメから利益を得ることが難しくなった理由

デジカメは、今回の世界同時株安が始まる前に、既に価格下落が報じられており利益が出にくくなっていた訳だが、そこに世界同時株安の到来で世界中の消費者がタイトな生活防衛モードに入るだろう。 大分キヤノンの主力製品であるデジカメは、既に普及しており、また生活必需品でもないことから、多くの人にとって、おサイフに余裕が無い時に優先的に購入したい商品ではないと考えられ得る。 キヤノンのデジカメは技術的に優れていると思うし、現に私もキヤノンのIXYは既に持っている。 だがキヤノンのIXYは、あまり使っていない。 普段は携帯についているデジカメで十分だからだ。 それに、輸出品に関しては円高による為替差損の影響も大きい。 つまり需要低下と円高のダブルパンチで利益が出なくなる。 日本国内に限って言えばキヤノンの「偽装請負」やキヤノンのトップが会長を務める経団連の「移民受入提言」などがあり、いかに労働者を安く使うかといった儲け主義的な会社であると言ったイメージが強くなってきており、CI的観点から見たキヤノン製品の支持率は低下していると考えられる。 無視可能な誤差の範囲かもしれないが、そういったこともキヤノンの利益を下げる要因と考えられる。 あと、過去の成長路線からの転換も結構コストを生じるので利益を圧迫する。

米国での販売減少

日本国内はともかく、米国での販売不振は深く長いものになると予想される。 製造業よりはむしろ金融、特にギャンブル性が高いマネーゲームで成り立っていた米国が、その生命線との言える金融商品で重大な事故を起こしてしまったわけで、これは、会社で言えば主力製品に重大な事故が発生して販売不可能になり倒産するに等しいことだ。 いまさら製造業に帰るにも、GMを見ても明らかな通りで困難だ。 ボーイングやマイクロソフトがあるじゃないかって? これも難しい。 どちらも無敵というわけではなく、航空機はエアバスという強敵があるし、マイクロソフトに至っては主力である Windows が Ubuntu をはじめとする Linux系OS の使いやすさの改善に伴う普及により売れなくなってきているし、MS Word などの Office 利用者も フリーの OpenOffice.org の成熟度がだいぶ高まっており、も近い将来 OpenOffice.org が主流になるものと予見される。 製造業もダメとなると、残る生命線はエンターテイメント、農業と資源発掘か?(でも、ハリウッド映画も最近海外のヒット作の焼き直しみたいなものが多くて、正直見る気もしなくなってきてるし)

まあ、米国の次なる主力になるにせよ、当面は借金と資産の切り売りで食いつなぐしかない。 事故処理コストも相当かかる。 既に借金についてはおぞましい勢いで増加中のようだ。 米国の「借金時計」が桁不足になったという報道でもわかるように、想定を超えたスピードで米国の借金は増加している。 資産の切り売りも本格化してくることだろう。

借金が増えるだけではない。 失業者や低所得者も増える。 今後、新たな金融商品は作りにくくなったし、仮に新たな金融商品を作ったとしても「それは危ないものかもしれない」ということで簡単には販売できなくなるだろう。 新薬の許認可システムのようなものが出来るのではないだろうか。 そうなると、ギャンブル的な金融は陰を潜めシンプルで健全な金融でマネーは動くようになるはずだ。 それにより、金融工学の専門家など、金融にかかわっていた人は職を失う。 その人達を相手にビジネスを行っていた企業や商店なども経営が立ちゆかなくなる。 投資で損をした人もいっぱい出るだろう。 財政も厳しいので公共サービスの質が低下し、犯罪も増加する。 今まで豊かな生活を送っていた中流以上のアメリカンは明るい将来展望を持てなくなる。

そうなってくると米国からの人材流出も生じてくる可能性が高い。 もしかしたら、米国の優秀な頭脳はドバイやサウジのような資金力のある国に買われていくことになるかもしれない。 それと米国は移民の国である。 米国の国民を束ねる国旗の力が落ちた時、沈没する船から脱出しようとする人も少なくないだろう。 大分で仕事が無くなったから宮崎に帰って百姓でもするかというのと同じだ。 するとどうなるか? 質の低い人が米国に取り残され、ただでさえ悪い米国の治安が更に悪化するだろう。 もちろん、観光客も減って観光収入も激減する。 生き残った製造業も、そのような質の低い人を使うのは大変だ。 生産性は悪いは不良品は続出するわで競争力は低下する。 まあ、ここまで悪いシナリオにはならないまでも、米国はかつて無い程の危機的状況にあることは間違いないだろう。 これでは、さすがに脳天気なアメリカンも真っ青といった状況だ。 俗に恐怖指数と呼ばれているボラティリティ・インデックスが過去最高値のなんと2倍程度まで跳ね上がるという異常事態を見てもわかろうというものだ。

そのような状態下 で、一般の人にとっては生活必需品ではないデジカメを購入したいという人はどの程度いるのだろうか。 既に過去製造して流通経路に乗っかっている在庫もあるわけで、その消化でバランスが取れる程度の感じではないかと思う。


円高

しかも問題なのはそれだけではない。 キヤノンと言えば、中国などBRICS諸国の安価な労働力よりも、日本国内の低層にある労働者を安く(コキ)使うことで "Made in Japan" の誇り高きデジカメを世界中に販売してきた。 つまり、典型的な輸出型企業なのだ。 輸出型企業は円高になると為替差損で減収減益となる。 今回の世界同時株安は、円高もセットで連れてきた。 そう、キヤノンは円高で既に販売した分でも為替差損でダメージを被るのだ。


イメージによるダメージ

キヤノンのイメージが悪くなってきている。 原因は 「キヤノンの違法な偽装請負」 と キヤノンのトップが会長を務める経団連が行った 「外国人の移民受入提言」 だ。 どちらも 「いかに安く製品を作るか」 ということだけを優先させた考え方であり、日本の低レベル労働者にとって悪いニュースでしかない。 今、日本の単純労働は、中国などの労働賃金が安い BRICS諸国との厳しい競争に晒されており、その中で企業が日本製というブランドを守り抜くには日本人労働者を安くコキ使うとともに、外国人移民を安くコキ使う必要があるという企業側の論理はわかるが、これを推進すると、単純労働しかできない日本人は俗にワーキングプア(ワープア)と言われる「働けど働けど我が暮らし楽にならず」という石川啄木ワールドが展開されるわけだ。 そして、その結果、絶望的になった日本人は自殺に追い込まれる。 さすがにそれは良くないと考え、キヤノン製品に対して賛成できなくなってきている人が増えている模様で、キヤノンの売上げを低下させる要因になっていると考えられる。


過去の成功

キヤノンの場合、過去の業績が良かっただけに生産能力を強化し続けてきた。 九州の場合、大分キヤノンのみならず長崎キヤノンまで設立し、2009年12月の操業開始を目指し準備をしている。 長崎キヤノンは土地の造成まではだいぶ進んでいるようだが、工場本体の建設はこれからなので、もしかしたら計画が凍結される可能性もある。 もし、計画通り進んでしまうと、長崎キヤノンは大分キヤノンと同様にデジカメを製造するとしているので、大分キヤノンにとっては身内の敵になる可能性が高い。 それと、広げすぎたビジネスを縮小させるには結構コストが必要だ。 過去の成長が著しかっただけにリストラに伴うコストも大きなものとなるだろう。


人員削減の可能性

キヤノンは、創業以来、終身雇用を守り続けている。 過去のリストラ時には余剰の人材を切り捨てず配置転換で対処したという輝かしい歴史があるようだ。 だが、それは将来の終身雇用制度の維持を確約するものではないだろう。 過去がどうであろうと背に腹は代えられまい。 現状を考えると、キヤノンが立ち上げを目論んでいた SEDディスプレイの製造に 人を振り向けようにも、既存の液晶ディスプレイの高画質化や低価格化により SED を市場に投入してもビジネスとして成立させるのは難しいだろうことから、容易ではないだろうし、 プリンタ事業とて伸びる要素は見いだせず、労働者の配置転換は不可能に近いように思われる。

まずは期間従業員(期間工)の契約を更新しないということで対処するだろうが、果たして、その自然減のペースで丸く収まるだろうか疑問だ。 大幅な減収減益となれば、いくら会社のポリシーが終身雇用の継続であっても株式市場や株主がそれを許さないのではないだろう。

大分キヤノンは九州各地から労働者を掻き集めてきただけに、人員削減を開始した場合、大分に大きなダメージを与えるだけではなく九州全体に大きなダメージの波が広がることになるだろう。 大分のキヤノンは、BRICSの安価な労働者よりも日本国内の労働者を使って製造を行ってきたことは、それがいくら低賃金で過酷な労働を強いるものであっても、もしかしたら飯が食えなかったかもしれない若者に仕事を与えたという意味で賞賛されるべきだろう。 だが、今、そうして、やっと飯が食えるようになった若者が、大分のみならず九州各地を彷徨うことになろうとしているわけだ。

失業保険だっていつまでも貰えるわけではない。 有限だ。 だから、キヤノンという一企業の問題の枠を超えて、政治の力で問題解決することが重要だ。 大分を含め九州の政治家は率先して事前対策を練っておかねばなるまい。 私は、赤字国債を発行してでも、日本の将来に役立つヒューマノイドなど将来指向工業製品の開発生産を大至急行う大型プロジェクトなどを日本国政府は打ち出し、日本人の力を結集して将来の子供達に感謝されるような素晴らしいものを創るという方向性が良いと考えるがどうか。 そうすれば、大分キヤノンの余った人員やフロアを有効活用できることになり、大分の税収も将来アップするだろうから。

九州ベースの翻訳会社・大分生まれ福岡育ち


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